2016年03月01日

五臓について④五臓とココロ・アタマ

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出典:WALTER DEXEL Motiv Yin Yan, 1970

五臓の各臓には、五神(七神)が宿っています。
(七神)としているのは、
参考にしている古典により、
時代の流れの中で記載が異なるからです。

黄帝内経素問においては、
魂(こん)、神(しん)、意(い)、魄(はく)、志(し)の五神、

黄帝内経霊枢において、
魂、神、意、魄、志、の志に精が足されて六神

ここまでが紀元前100年くらいの前漢のころ、

難経(なんぎょう)という、
黄帝内経の流れを受けて書かれた書物においては、
魂、神、意、魄、志・精、の意に智が加えられ、
魂、神、意・智、魄、志・精の七神となりました。

難経は、紀元二世紀前半の後漢の時代に書かれているので、
約300年経っているわけです。
当時から、精神論が重視されてきたことが分ります。

前置きはこれくらいにして、
五神(七神)のはたらきです。

魂(こん):肝に宿ります。
精神活動の一つで、意識的な活動に関わっています。
魂が宿らなくなると、驚きおびえる、よく夢を見る、不安感、
夢遊、寝言、幻覚などの症状がおこりやすくなります。
計画を立ててああしよう、こうしようっていうやる気のようなものです。

気力がないことを「魂が抜ける」、
肝(きも)を冷やすことを「魂を冷やす」、
なんて言い回しもあるのは面白いです。

神(しん):心に宿ります。
先日説明したように、
簡潔に「ココロ」全体、または現代でいう脳のような立場のもの
人が醸し出す雰囲気のようなものです。

意(い)・智(ち):脾に宿ります。
単純な記憶や思考を組み立てます。
頭の働きとも関係があるのです。
意・智が宿らなくなると、食欲減退、不眠、だるいなど、
鬱に似た症状がおこりやすくなります。

魄(はく):肺に宿ります。
先天的な感覚・運動、無意識、本能的な精神活動に関わっています。
日常動作を 適切に行ったり、注意を集中したり根本的なやる気の元のようなものです。
魄が宿らなくなると、注意力が散漫になったり、
物忘れがひどくなるといった症状が出やすくなります。

志(し)・精(せい):腎に宿ります。
目的や目標を持ち、達成のために考えたり、思いを持続させたりします。
志が宿らなくなると記憶の混濁や忘却しやすく、
だらしなくなってきます。

五臓と五神(七神)は、密接にかかわっていて、
五臓の中で調子の悪い臓があれば、
そこに宿る神(しん)の働きに影響が出てくるわけです。

西洋医学でいうところの精神作用が五臓にあるということです。
え、そうなの?と思われるとは思いますが、
臨床をしていると、まさにその通りということもあるんです。

参考までに
【記憶転移】臓器移植で人格や性格が変わる事はあるのか?

「過去を記憶する臓器」ザ!世界仰天ニュース


*だいぶ省略して説明しています。
内容の誤りや誤解を招く表現にお気づきの方は温かくご指摘ください。


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Posted by 是梵治療処 at 09:06│Comments(0)東洋医学
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